人事16年目が、複業でAIプロダクトを作る理由
自己紹介を兼ねたエッセイです。私はいまも会社で人事/People Opsをしています。今年で16年目、採用・評価・労務・組織設計を内側から見てきました。その傍らで、複業として、自分でコードを書いてアプリやサービスを作っています。
「人事なのに、なぜ?」とよく聞かれます。仕事を変えたわけではありません。本業は人事のまま、複業でものを作っている。その理由を、少し丁寧に書いてみます。
きっかけは「これ欲しい」だった
作るものは、いつも「自分や身近な人のこれ欲しい」から始まっています。壮大なビジョンから逆算したわけではありません。目の前の困りごとを、放っておけずに形にしてきた——という順番です。
介護の記録、中小企業のホームページ、英語学習、入眠のための語り。領域はバラバラに見えますが、共通しているのは「誰かの具体的な不便が起点になっている」ことです。市場調査から入ったプロダクトは一つもありません。
この作り方は効率が良いとは限りません。ただ、困りごとを自分で抱えている、あるいはすぐ隣で見ている状態から始めると、何を作って何を作らないかで迷いにくいという利点があります。これは後で詳しく書きます。
現場を知っていると、設計理由を自分の言葉で説明できる
人事を16年やってきて、Workday HCM/LMS や ServiceNow の全社導入も、現場と開発の間に立って動かしてきました。この経験から強く感じているのは、現場の困りごとを知っている人間が設計に関わると、判断がぶれにくいということです。
システムの機能は、放っておくといくらでも増やせます。「あれもできたほうがいい」「この項目も入れておこう」。一つひとつは善意でも、積み重なると誰も使わない重いものになります。導入する側を長くやってきた立場からすると、機能が多いことと現場で使われることは、まったく別の話です。
だから私は、作るときに「これは本当に困りごとを解くのか」を何度も自分に問います。現場を知っていると、この問いに自分の言葉で答えられる。逆に言えば、なぜその機能を入れたのか、なぜその機能を入れなかったのかを、後から自分で説明できるようにしておきたいと思っています。設計理由を借り物の言葉でしか語れないなら、それは自分が作ったものだとは言いにくいからです。
この感覚は、HRテックの選定にも通じます。詳しくはHRテック選定で最初に確認すべき5つのことに書きましたが、機能比較表の外側にこそ大事な判断がある、という点は、作る側に回っても変わりませんでした。
独学で、AIを道具として使う
開発はぜんぶ独学で覚えました。最初は Cursor や Gemini を使い、いまは Claude Code を主に使っています。もともとエンジニアの訓練を受けたわけではないので、AIコーディングツールがなければ、ここまで手を動かせなかったと思います。
ただ、AIに丸投げしているわけではありません。AIは提案をどんどん出してきますが、その提案を採用するか却下するかは、自分で判断する必要があります。とくに「便利そうだから」という理由で機能を足していくと、前の章で書いた「誰も使わない重いもの」に一直線です。
だから私にとってAIは、実装を速くしてくれる道具であると同時に、判断を試される相手でもあります。提案を一つずつ吟味して、採用・却下・後回しを決めていく。この判断の質は、AIではなく、現場を知っているかどうかで決まります。ここが、ドメイン知識を持った人間が自分で作ることの意味だと考えています。
作りながら考えている、複業のいま
こうした延長線上で、いまは複業で、Capability起点の要員計画・実行管理SaaS「Sakigake Workforce」を開発しています。要員計画は、人事16年のなかで何度もExcelで苦しんできた領域です。その困りごとを、今度は自分で解いてみようとしています。
要員計画そのものについては要員計画とは何かや要員計画がExcelで破綻する5つの瞬間に整理しました。この記事はあくまで「なぜ人事の私がものを作るのか」という自己紹介なので、プロダクトの中身にはこれ以上踏み込みません。
まとめ
- 本業は人事16年目のまま。その傍らで、複業としてアプリやサービスを作っている
- 作るきっかけはいつも「自分や身近な人のこれ欲しい」。市場から逆算していない
- 現場の困りごとを知っていると、何を作って何を作らないかで迷いにくく、設計理由を自分の言葉で説明できる
- 開発は独学。Cursor / Gemini を経て、いまは Claude Code を主に使う。AIは道具であり、判断を試される相手でもある
複業では、Capability起点の要員計画・実行管理SaaS(Sakigake Workforce)を開発しています。要員計画の運用に困りごとを感じている方がいれば、下の窓口からお気軽にご相談ください。作る側と使う側の両方を行き来してきた立場で、現場の言葉で一緒に整理します。
Sakigake Workforce
Capability起点の要員計画・実行管理SaaSを開発しています。要員計画の運用にお悩みの方は、30分のオンライン相談で現場の言葉から一緒に整理します。