組織を「正解」で上書きしない——事業成長のバグを見つける問い方
2025-02-20
「いまの組織に足りないのは、あの会社のあの仕組みだ」。そう思って、書籍や事例の「正解」をそのまま持ち込んだ経験はないでしょうか。私自身、人事として、外のベストプラクティスを追いかけた時期がありました。ところが、導入した制度が思ったほど浸透しない。数字は取れても、現場の空気が変わらない。そのとき気づいたのは、事業を育てるという視点が、短期的な「正解の導入」に置き換わっていたということでした。
組織論の常識を疑う
世の中には、優れた組織論や経営のフレームワークがたくさんあります。それらは確かに、ある文脈では強力に機能する。けれども、その「正解」をそのまま自社に上書きすると、かえって違和感が残ることがあります。なぜなら、どの事業にも、その会社だけの歴史と、そこで働く人たちの熱中の源泉があるからです。人事の役割の一つは、その源泉を掘り当て、言葉にすることだと、私は考えています。正解のコピーではなく、自社の問いを立てること。外の正解で上書きするのではなく、自社の文脈のなかで「いま、何が事業成長のバグになっているか」を問い続ける。その問い方こそが、組織を有機的に育てる土台になるのではないでしょうか。
事業を「育てる」という長期的な視点
事業は、一度設計すれば終わりではありません。市場も人も変わる。だからこそ、人事が持つべきは、事業を長期的に育てるという視点だと考えています。短期的な数値や制度の導入だけでなく、「この組織で、人は何に熱中しているのか」「その熱中を、どう持続可能にするか」を、継続的に見直していく。それは、すぐに答えの出る問いではありません。けれども、その問いを忘れずにいると、やがて「うちの組織の正解」が、少しずつ形になってきます。育てるとは、答えを一括で与えることではなく、問いを手放さずにいること。外の正解で上書きするのではなく、自社の熱中を定義し直す。その一歩として、まずは「いまの常識を疑う」ことから始めてみる。そんな姿勢を、人事の現場で大切にしています。
まとめ
組織を「正解」で上書きしない。そう心がけると、事業成長のバグ——熱中を阻害している要因——が見えやすくなることがあります。世の中の組織論を参考にしつつ、自社独自の熱中の源泉を定義し直し、事業を有機的に育てていく。そのための問い方を、これからも探り続けていきたいと思っています。読んでくださった方の現場に、少しでも役立つ視点が届いていれば幸いです。
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