要員計画の「実行管理」とは何か——計画が使われない会社の共通点
要員計画が形骸化する会社には、共通点があります。計画を「作る」ことには力を入れるのに、「使い続ける」仕組みがないことです。期初に何週間もかけて立派な計画を作り、承認をもらい、そして——期末まで一度も開かれない。翌期はまたゼロから作り直す。この繰り返しをよく見ます。
私は人事として16年、こうした計画を何度も作り、そして何度も放置してきました。放置される計画と、使われ続ける計画の違いは、計画の出来ではありません。実行管理があるかどうかです。この記事では、要員計画の実行管理とは何かを整理します。
実行管理とは「計画に現実を反映し続ける」こと
要員計画は、期初に作った瞬間から古くなり始めます。なぜなら、現実は毎週動くからです。
- 採用が1件決まった/見送りになった
- 異動が発令された
- 想定していなかった退職が出た
- 事業計画そのものが期中に修正された
実行管理とは、こうした現実の変化を計画に反映し続ける営みです。計画を「作って終わりの静止画」ではなく、「現実に追従して動く地図」として扱う。採用の進捗が計画上のギャップを埋めていく様子が見え、退職が新しいギャップを開ける様子が見える。この更新が回っている状態が、実行管理が効いている状態です。
裏を返せば、実行管理がないと、計画は期初の一枚の写真のまま固まります。3ヶ月後には現実とずれ、誰も見なくなり、「あの計画、もう合ってないよね」で終わります。
なぜ計画は使われなくなるのか
使われなくなる計画には、いくつかの典型パターンがあります。
計画と実行が別の場所にある
最も多いのがこれです。要員計画はExcelにあり、採用の進捗は採用管理システムにあり、異動は人事システムにあり、退職はまた別の台帳にある。現実の情報が計画とは別の場所に散らばっていると、計画に反映するには手で転記するしかありません。手作業の転記は、忙しくなると真っ先に止まります。そして一度止まった計画は、二度と追いつきません。この分断は要員計画がExcelで破綻する5つの瞬間でも「計画と実行の切断」として書きました。
更新する人と責任が決まっていない
計画を作った人は決まっていても、「毎月これを最新にする人」が決まっていないことがよくあります。誰の仕事でもないタスクは、誰もやりません。実行管理は、担当と更新のリズムがセットで決まって初めて回ります。
更新するインセンティブがない
そもそも、その計画を更新しても誰も見ないなら、更新する意味がありません。経営会議で参照される、予算と連動している——計画が意思決定に使われているという実感があって初めて、現場は更新の手間をかけます。使われるから更新され、更新されるから使われる。この好循環がない計画は、静かに放置されます。
使われる計画の3条件
では、使われ続ける計画は何が違うのか。私は次の3つだと考えています。
- 計画と実行が同じ場所にある:採用進捗・異動・退職が、計画とは別の台帳ではなく、計画そのものに反映される。手作業の転記を挟まない。ここが分断していると、他の条件を満たしても形骸化します。
- 更新の担当とリズムが決まっている:「毎月初にこの人が最新化する」というルールがある。実行管理は仕組みであると同時に、運用のリズムです。
- 意思決定に使われている:計画が経営会議や予算配分の場で実際に参照される。使われるから、更新するインセンティブが生まれる。
この3つが揃うと、計画は静止画から動く地図に変わります。逆に、どれか一つでも欠けると、どれだけ立派に作った計画でも期末には遺跡になります。要員計画がそもそも何を指すのかについては要員計画とは何か——人員計画・採用計画・配置計画との違いもあわせてどうぞ。
まとめ
- 実行管理とは、採用進捗・異動・退職といった現実の変化を計画に反映し続ける営み
- 計画が使われなくなる原因は「計画と実行が別の場所にある」「更新の担当が未定」「更新するインセンティブがない」
- 使われる計画の3条件は、①計画と実行が同じ場所②更新の担当とリズム③意思決定での参照
- 立派に作ることより、使い続ける仕組みのほうが計画を生かす
計画と実行を同じ場所に置くことは、Excelの設計思想の外側にある領域です。私は現在、この「Capability起点の要員計画・実行管理」を形にするSaaS(Sakigake Workforce)を複業で開発しています。作った計画が毎年放置されてしまう、という手応えのある方は、下の窓口からお気軽にご相談ください。現場の言葉で一緒に整理します。
Sakigake Workforce
Capability起点の要員計画・実行管理SaaSを開発しています。要員計画の運用にお悩みの方は、30分のオンライン相談で現場の言葉から一緒に整理します。